2017年10月17日火曜日

竹田アートカルチャー、そして渡辺写真館

昨晩、大分県竹田市より帰京。竹田アートカルチャーでの展示「たけたのひと、たけたのいろ。」と、オープニング企画の撮影会・トーク・写真館を無事終えてきました。…あ、展示は29日まで続きますが。

14日の撮影会とトークは県内や市内から参加した方に加え、はるばる関東や福岡から来てくれた友人もおり、おかげさまでとても楽しい会になりました。
そして15日の写真館はあいにくの天気にもかかわらず、28人と猫2匹のお客様を撮影。晴れたらもっと来たと思いますが、即席一日館主のキャパ的には適正人数でした。
前夜は友人たちとしこたま飲ませてもらったシャモ料理屋の女将さんも「47年前ここで結婚写真を撮ったわぁ。今日はかっこいい遺影を撮ってちょうだい」とのことで、二日酔いに負けず気合いを入れて撮影しました。

6年前に館主が病に倒れてから放置されていた渡辺写真館を復活するきっかけは、7月に撮影会イベントと今回の展示に向けた撮影を行うにあたり、現所有者である竹田商工会議所の佐藤会頭から「写真館に泊まったら?」と提案されたこと。それは猛暑で断念したものの、アートカルチャーでも活用してほしいとのことで、展示には使いにくいけど撮影ならできるよなぁ。そうか、モデル撮影会でもやるか…と思ったのですが。
多くの竹田市民が渡辺写真館で七五三や結婚、家族の記念写真を撮ってきたという話をあちこちで聞き、それならもう復活営業するしかないと。佐藤会頭と奥さまも賛同してくださり、当日までに館内をきれいに掃除してくださいました。機材関係は手付かずでしたが、備え付けのストロボは3基中2基が光り、背景の昇降機も問題なく動きました。

また当初は写真を後日郵送するつもりでしたが、その場でプリントを見せる方が盛り上がるよなぁ…と思い、キヤノンマーケティングジャパン岩田さんにお手伝いいただいてプリンターも設置。地元ボランティアの畑さんには受付からストロボの操作まで手伝っていただき、本当に大助かりでした。
といろいろな方の手を借りて実現した一日限定復活営業ですが、オリジナルのプリント袋を作ればよかったとか、看板もあったらよかったなとか、もっと楽しんでもらえる仕掛けができたかなと。その点は反省というか来年への課題です。来年もやれるかどうかはわかりませんが…。
実は渡辺写真館は来年春に取り壊しの予定なのです。それもあって今回は一日限定の復活営業としました。


しかし時折スタジオをのぞき、最後は写真のように接客担当までしてくださった佐藤会頭が、終了後ぼそっと「壊すのやめるわ」。設備的にまだ使えたこともありますが、撮影や見学に来た人たちが喜んだり、懐かしんだり、あるいは初めて中に入って感動する様子を見て、町おこしにここを生かさない手はないと。そこで自宅へ戻り、写真館の設計図を確認したそうです。その結果、現状のまま活用できそうだと。

もちろん残すには課題があるはずで、果たして来年この写真館があるのかどうかは僕もわかりません。ただ遺された設備や機材から、写真を愛し、丁寧な仕事をしていたと推測できる亡き渡辺館主の志を継ぎ、また写真を通じてご縁ができた市民の皆さんのためにも、来年の竹田アートカルチャーでもどこかのスペースで写真館ができたらいいなと思っています。カメラ一台あればお顔やお姿は撮れますのでね。