真夏になっても「氷」の旗が見えなくなったのはだいぶ前からですが、数年前から夜の提灯も掲げられなくなりました。でも建物は朽ちる様子もなく、なんとなく人が住んでいる気配が。てっきりおばあさんが高齢で店をたたんで、中でひっそり暮らしているのだと思っていました。ところが意外なところにおばあさんと縁の深い方がおり、まるで昭和そのものな店の歴史と、おばあさんが4年前に90歳を過ぎて亡くなったことを知りました。人の気配があるのは近所の常連さんが今もそこに集まっていたからなのでした。
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そして今日予期せずその中を見せていただく機会が。想像より狭く、雑然としていましたが、そこで刻まれた時間がそうさせるのか不思議と温もりを感じる空間でした。ここをリノベーションしてカフェやバーをやったら、絶対に超人気店になるよなぁ…と思いましたが、山のように来るそんな提案を娘さんがすべて断っているそうです。たしかにおばあさんが天国からひょっこり帰ってきて、またおでん屋さんをやると言い出したら困りますからね。そしておばあさんの帰りをずっと待っているこいつも。
僕もその日を待っていたいけれど、提灯がかかっていた頃に意を決して入ればよかったなぁ。