2017年4月17日月曜日

伝説のおでん屋さん

都内某所に、学生の頃から気になっていたおでん屋さんがありました。大通り沿いにぽつんと立つ木造一軒家は、明らかに戦前のもの。軒には手書きの看板、そして夜は「おでん」の提灯が。夏の明るい時間には「氷」の旗もたなびいていました。チャキチャキなおばあさんがやっているというのはテレビや雑誌で知っていましたし、実際外からその姿を見たこともありました。しかし店の佇まいやおばあさんの存在感から、とても若造がひとりで入れるお店ではなく…。そういえば10年以上前、mixiにはそこへ一度行ってみたいという人が集まるコミュニティーもありました。でも意を決して行ってみたという人は現れませんでした。

真夏になっても「氷」の旗が見えなくなったのはだいぶ前からですが、数年前から夜の提灯も掲げられなくなりました。でも建物は朽ちる様子もなく、なんとなく人が住んでいる気配が。てっきりおばあさんが高齢で店をたたんで、中でひっそり暮らしているのだと思っていました。ところが意外なところにおばあさんと縁の深い方がおり、まるで昭和そのものな店の歴史と、おばあさんが4年前に90歳を過ぎて亡くなったことを知りました。人の気配があるのは近所の常連さんが今もそこに集まっていたからなのでした。


■X100F/Classic Chrome

そして今日予期せずその中を見せていただく機会が。想像より狭く、雑然としていましたが、そこで刻まれた時間がそうさせるのか不思議と温もりを感じる空間でした。ここをリノベーションしてカフェやバーをやったら、絶対に超人気店になるよなぁ…と思いましたが、山のように来るそんな提案を娘さんがすべて断っているそうです。たしかにおばあさんが天国からひょっこり帰ってきて、またおでん屋さんをやると言い出したら困りますからね。そしておばあさんの帰りをずっと待っているこいつも。

僕もその日を待っていたいけれど、提灯がかかっていた頃に意を決して入ればよかったなぁ。