2015年3月24日火曜日

遺影

昨年夏から「日本一人口の少ない町」早川町の全町民を撮る、というプロジェクトをやっているわけですが、その話をすると決まって聞かれるのが「撮った方が亡くなったらどうするんですか?」。たしかに早川町は山梨でもっとも高齢化率が高く、僕が撮った方もおじいさんおばあさんが多いわけです。

町の協力で写真集を作ることになったとき、撮ったものの亡くなった方の扱いをどうするか、という話も最初の打合せで出ました。僕としては皆さんに長生きしてもらって、出来上がった写真集を手にしてほしい。でも2年間で亡くなる方も出てくるでしょう。そんな方の姿を収めてこそ、町民の皆さんも喜ぶんじゃないですか…と話したところ、とりあえずそうすることになりました。いやそうするべきでしょう。

それから僕が知る限り、すでに撮らせていただいた700名近い方の訃報は聞かなかったのですが…撮影の窓口になってくれている上流研さんから、昨日ついにその知らせが。お年を召されたおばあさんで、撮影時に僕が「ほら、きれいに撮れましたよ~」と液晶でお見せしたのを息子さんが覚えていて、写真が欲しいと連絡されたそうです。悲しい知らせではありますが、自分の写真を故人を偲ぶよすがとしてくださるのはありがたいお話。

そういえば以前ある席で、某週刊誌の若い編集者が「カメラマンは被写体に喜んでもらう必要なんてない」と言っていたのを思い出し…。まあ写真を撮るってなかなか簡単ではないよね。


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