2008年10月28日火曜日

辛くて旨い調味料

今日は仕事で横浜→川崎。クライアントさんとの待ち合わせが元町中華街駅だったので、早めに行って中華街でランチを食べて、少しだけ散策。看板の文字や行き交う人たちが話す中国語を見聞きしていると、なんだか無性に北京へ行きたくなりました。って来月末はいよいよ故宮で写真展があるので、準備やら何やらで嫌でも行くことになるんですが(別に嫌じゃないけど)。



中華街では北京でよく見かけたこの顔に再会しました。



081027_12091 瓶詰めの辛味噌■GR DIGITAL II



フタに印刷された、なぜか自信なさげな顔の主は陶華碧さん。これを作っている中国の食品メーカー「老干媽(ラオガンマー、「おふくろさん」という意味らしい)」の社長です。



貧しい農村で生まれた陶さんは、夫に先立たれるなど苦労の末、自分で建てた小屋で冷麺屋を開業。すると大繁盛! しかし客の目当ては冷麺ではなく……テーブルに置いていた手作りの辛味噌。
やがて陶さんは冷麺屋を閉めた後、それを夜な夜な瓶に詰めて売るようになり……10年も経たずに総資産は100億円を突破!! という伝説の女社長です。ちなみに陶さんは学校に行ったことがないため、書ける文字は3文字だけ。それが契約書にサインをするため必死に覚えたという写真の3文字、つまり自分の名前なのだとか。



と書くと昔話のようですが、小さな辛味噌工場を建て、自ら行商を始めたのが1996年のこと。「老干媽」の出現により、中国では調味料が「家で作るもの」から「店で買うもの」になったそうです。まあ多少誇張が混じっているような気もしますが、中国の急激な経済成長を裏付ける話ではあります。



ちなみに北京のローカルな麺屋に行くと、陶さんの冷麺屋のように自家製と思しき辛味噌がテーブルに置いてあります。もちろん自由にすくって構わんのですが、フタを開けようとしたら、それを見ていた女将さんに「麻辣!(マーラー、つまり激辛)」と注意され、慌てて少しだけすくったことがありました。僕が日本人だとわかって教えてくれたんでしょうが、でもそれを中国語で注意してるんですよね。すごく矛盾しているような……。
まあ中国では当たり前なんですけどね。北京に行くと「中国人は全人類が中国語を話せると思っているんじゃないか?」と思うことが多々あります。中国人の友人にそれを話したら「まあ外国語というものが存在すること自体知らない人もいるかもね。それに中国語が話せれば、世界のどこに行っても困らないからね」。どこの国に行っても必ず中国人がおり、チャイナタウンがあるから……納得。



なお女将さんに「麻辣!」と注意された辛味噌は、案の定激辛で、でも激旨でした。中国は本当に奥が深いです。