2011年5月31日火曜日

石巻に呼ばれて

今日はレンタカーを借りて、土日のイベントに参加してくれた石巻市立女子高校の写真部を訪ねました。


顧問の先生とは放課後に約束をしていたので、松島を見てから行こうと思っていたのですが……。今朝電話があり、台風で授業は昼で打ち切り。ただ写真甲子園を目指している1年生トリオが予選の準備で少しだけ残るというので、急いで学校へ向かいました。


三陸道を下りてカーナビの指示通りに市内を進むと、学校まであとちょっとというところでゴーストタウンのような町が。すぐにそこは「のような」ではなく、本当のゴーストタウンなのだと気付きました。家屋は崩れ、つぶれた車や漁船がそこかしこに転がり、ほとんどの交差点は信号が消えたまま。


さらに学校の目前では、津波で町が完全に消え去っていました。外は立っていられないほど風雨がすさまじかったせいもあって、もう言葉にできない世界。津波から2か月半も経っているのにまだそんな状況なのです。


 


110530_A_6862 
110530_B_6980■EOS 5D MarkII+EF70-200mmF4L IS


その市街に囲まれた高台に石巻市立女子高校は立っていて、地盤が堅いこともあって校舎も周囲の住宅街も見た目にはまったく平穏そのもの。授業も今日は例外でしたが、ほぼ平常通りに行われているようです。でも……ですよ。


……なんてことを考えると、昨日はよくイベントに来てくれたなぁと思いました。今日残っていてくれた1年生トリオは、昨日も1時間ほど撮影に付き合ったのですが(昨日のブログのサマンサタバサのおねいさんを撮っているのが彼女たちです)部室で1時間ちょっと、いろいろな話をしてきました。


もっとも昨日学校へおじゃまする約束をしたときは、土日に高校生たちがイベント会場や仙台市街で撮っていたように、彼女たちが明るく頑張っている様子を撮ろうと思っていたし、普段の自分なら逃さず撮っているはずなのですが……なぜか撮れませんでした。
反対に「自分には撮れないかも」と思っていた津波の爪痕は、不思議なくらい冷静に撮ってしまえたのに……。


ちょっと思い通りに撮れなかったり、タイミングを逸したりすることは僕も日々ありますが、それ以前の「撮れなかった」という無力感はとても久しぶりか、もしかしたら初めて味わったかもしれません。



実はついこないだまで、津波に呑み込まれた町を自分が写真家として撮れるのか、撮れなかったら自信を失うのではないか、反対に撮れたとしてもそれに何か意味があるのか……などと考えると、被災地に足を運ぶ気にはなれませんでした。
ただ今回イベントのお手伝いというかたちで声を掛けていただいて、自分でも役に立ちそうだし、それなら行くべきかなと思って仙台へ向かうことにしたわけです。


そのことをつい先日、お世話になっているお坊さんにたまたまお話ししたら、「それは君が被災地に呼ばれてるんだよ。人間ってのは突然思いも寄らないところへ行くことになったりするけど、それはその場所に呼ばれてて、運命で行くことになってるんだよ」。そのお坊さんも誘われて仙台へ炊き出しに行ったのですが、当初は乗り気がしなかったものの、現地の空気を肌で感じているうちに「ああオレは呼ばれたんだ」と実感したそうです。



石巻市立女子高校の写真部は火曜が活動日で、明日は天気もよさそうなので撮影をしようという話を聞いていました。なので明日の仕事はなんとかやりくりして、もう一泊して石巻へ行こうと考えたのですが……レンタカーがまったくとれず、後ろ髪を引かれる思いで最終の新幹線に乗りました。


今回僕はやっぱり宮城に呼ばれたんだろうと思いますが、それは3日間であって4日間ではなかったのでしょう。そしてまたどこかのタイミングで仙台や石巻へ呼ばれるんだと思います。たぶん今日高校生たちを撮れなかったのは、それまでもっと修行を積め!という課題なのかもしれません。


というわけで明日からの仕事は失敗しないようにがんばろーっと。


 


110530_C_6950■EOS 5D MarkII+EF17-40mmF4L


石巻もがんばってくれ!