2008年5月10日土曜日

古書街で写真集を探す

今日は神保町にある日中写真文化交流協会の事務局へ行ったついでに、古書街で写真集を物色してきました(これが楽しいんだな)。




美術書ばかりを扱う古書店で、あれも欲しいなこれも欲しいなと思いつつ、エルンスト・ハースの写真集を2冊セレクト。片方は『HIMALAYAN PILGRIMAGE(ヒマラヤ巡礼)』、もう片方は彼のホームページの扉にも使われている代表作「Albuquerque, New Mexico」などが収録された『IN AMERICA』です。



Ernsthaas
どちらも同じ版型・版元で、30年以上前に発行されたものです。最初は『ヒマラヤ巡礼』に圧倒されたんですが、隣にあった『IN AMERICA』も捨てがたく、結局両方買ってしまいました。
ちなみにエルンスト・ハースといえば、強烈な色使いで有名。以前はモノクロでまとめられた写真集ばかり買っていたのだけど、自分がデジタル=カラーで撮影するようになると、やはり「色」が気になりますね。




といいつつ、もう1冊購入したのはオールモノクロ。井上孝治「想い出の街」という写真集です。写真集自体は1989年の発行ですが、収められているのは昭和30年頃に福岡の街角で撮られたスナップ。戦後から復興し、街も人もいきいきとしている様子が伝わります。と同時に今自分が撮っている北京を思い浮かべてしまいます。



井上孝治という人は3歳のときに事故で聴覚と言葉を失いますが、福岡で写真店を営むかたわら「全日本ろうあ写真連盟」をつくり、1993年にはフランスのアルル国際写真フェスティバルにも招待されました(が、その直前に亡くなってしまいます)。
Otononaikioku 僕の知人のノンフィクション作家・黒岩比佐子さんが、その生涯を『音のない記憶』という本にまとめたことで彼の存在を知りました。以前福岡に住んでいた黒岩さんは、仕事を通して晩年の彼と知り合ったそうです。『音のない記憶』にはそのあたりのエピソードも書かれており、とても読み応えのある評伝になっています。




というわけで載せる写真がないので、先達たちのご紹介ということで。ちなみに3冊で7500円のお買い物でした。いいんじゃないかな。