2011年10月18日火曜日

鬼子母神の宵

先日の「瞬間と永遠」写真展でもご一緒だった新美姐さんが、昨日Twitterで「御会式なのになんだか静かだわ」てなことをつぶやかれていました。


御会式とは日蓮さんの命日(10月13日)に日蓮宗のお寺で行われるものが有名で(他の一部宗派でも、同様に宗祖の方のご命日にやるようです)、日蓮さんが亡くなった東京の池上本門寺の御会式はとても盛大だそうです……そう、盛大らしい。
僕は2007年に身延山五重塔の取材を始めてから、ずっと日蓮さんのお墓がある身延山の御会式を撮っていて、先週行ってきたばかりです。なぜ毎年撮影に行っているのかというと、翌年のポスターに使う写真をご依頼いただいているからで、つまり池上本門寺の御会式は物理的に行けないのです。身延山の御会式もなかなか盛大で、撮り甲斐はあるのですけどね。


そんなわけで他の御会式は撮りたくても撮れなかったのですが、新美姐さんの近所にある鬼子母神の御会式は、なんと毎年10月16~18日だったのです。これは行くしかあるまい。


というわけで今日は新美姐さんと撮影に行ってきました。


 


111017_A_0851■OLYMPUS PEN E-P3+DG SUMMILUX 25mmF1.4 ASPH.



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■OLYMPUS PEN E-P3+M.ZUIKO ED12mmF2.0




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そしてこの半纏は……鳥にマス、鳥にマス、鳥マス、撮ります!?


そう、新美姐さんです。半纏は特注だそうな。なんて粋なんだ!


そんな粋な姐さんは、酒の肴がうまいうどん屋に連れていってくれました。なぜかメニューにあるうどんは激辛中心で、辛いもの好きの僕は0~5まで6段階ある激辛うどんの「1」を頼んだのですが、姐さんによると顔が紫色に変色するほど辛かったです。横になぜか「四川」と書かれていた「5」は、いったいどれくらい顔が変色するのでしょう?


姐さんとはいろいろなところでお会いはするのですが、サシで飲むのは初めて。自分がこの仕事を始める前から名前を知っている方と、飲んだり食ったりしながら話を聞けるのは幸せなことです。


そして今日はせっかくなので、うちの本棚にあった姐さんの著書『旅猫』を持参。サインをいただきました。



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姐さんがフリーになって初の仕事が雑誌「野生時代」の連載で、それをまとめた初の著書がこの『旅猫』だそうです。


僕はこれをかなり昔、どこか出張先の古本屋で買いました。そのときは新美敬子さんというお名前も知らず、冗談抜きで「アラ・ミケコ」と読んだ記憶があります(正しくはニイミ・ケイコさんです)。奥付には古本屋の主人が鉛筆で「絶版」と書き込んでいます。そう、もう古本を探すしかないのです。


以前僕は地方での仕事が多かったのですが、どの地方都市も中心街には夜遅くまでやっていて、しかも品揃えに個性のある古本屋がありました。そこでホテルや帰りの車中で読む文庫本を買うのが、なんとなく習慣になっていました。
リーマンショックで地方での仕事が激減し、あるいは地方に行っても古本屋さんがなく(代わりにブックオフがあるけど、旅先で寄りたいとは思わないのです……)、最近は文庫本といえば成田空港の書店で買ったものばかりです。


まあ新刊もいいんだけど、旅先で買う古本っていうのがいいんですよ。どこかでたまたま寄った古本屋さんで、著者の名前は知らないけど気になった本があって、数年後その著者と一緒に酒を飲んだりできたらおもしろいじゃないですか。