2012年6月27日水曜日

仮処分の写真展

今日はいま話題の新宿ニコンサロンへ。もっとも目当ては、話題になっている写真展の方ではなく、2つあるスペースのもう片方でやっている日大芸術学部写真学科の写真展「出て来い新人」
4年生の中から選抜された学生による展示で、僕が仕事を手伝ってもらったこともあるノムラくんも選ばれているというので、楽しみにしていたのですが……。




エルタワー28Fのニコン周辺は物々しい警備。ギャラリーには2つの入口があるのですが、日芸展側は封鎖されていました。そしてギャラリーへ入るのに、カバンの中身と金属探知機によるボディチェックを受けました。




話題の写真展はもちろん開催していたわけですが、ニコンが中止を決めたことに対して、東京地裁が「使用させなければならない」との仮処分を発令したので使わせますけど、保全異議申立中だからあくまで仮の開催ですよとのことです。

僕もこれまでキヤノン、エプソン、コニカミノルタのギャラリーをお借りしていますが、まともに賃料を払ったら大変な場所を“ご好意”で貸していただけるわけですから、断られたら(怒る気持ちはわからなくはないけれど)それまでだと思うんですが……。
例えるとアパートを借りようとして、一度契約までしたのに断られたから、「住まわせろ!」と裁判を起こしたようなもの。ギャラリーの貸借はアパートと違って無料なので、そこまで主張する権利もないはずです。なので裁判に訴えるというのも意外でしたが、仮処分はもっと意外でした。

「表現の自由が奪われるのはけしからん」という声も聞かれますが、あるギャラリーが貸さないと言うのなら、別のところを探せばいい話。そもそもニコンに限らずどのメーカーギャラリーも、公募には実際に展示する人の数倍~数十倍の応募があるわけですが、その選に漏れた人たちも表現の自由を奪われたのでしょうか?
写真家としてはニコンサロンがダメなら、別のギャラリーなりスペースで「ニコンはこんなにすばらしい写真の展示を断ったんだぜ! だからここで展示してやったぜ。ワイルドだろう?」と内容で見返せばいいんじゃないかと思いますけどね。それこそが写真家のプライドじゃないかと。

まあそんなわけで、話題の写真展会場はまるでオープニングパーティーかと思うほどの混雑ぶりでした。オープニングパーティーと違うのは、料理や飲み物がないことと、警備員さんがいっぱいいることですかね。

写真家としては、これが悪しき前例というか、ニコンや他の企業が文化活動を制限する理由にならないことを祈るばかりです。

その隣で日芸の展示は粛々と行われていましたが、でもあの状況じゃ「出て来い新人」と言われても、なかなか出て来られる雰囲気ではないですね。巻き込まれた格好になってかわいそうですが、でもいい作品がいっぱい並んでいたので、ぜひボディチェックを受けてご覧ください。



120626_A_7688
120626_B_7694■OLYMPUS OM-D+DG SUMMILUX 25mmF1.4ASPH